トビラの向こう側


「立花さんが見た人は恋人なんかじゃないんだ」


「違うんですか?」

「親父が相手の親と結婚話しを途中まで進めていたのは事実だけど」


「親父から話しがあってすぐに断った。だから関係ない」

美月ちゃんの勘違いだったんだ。



「さっきの話しの続きをしようか。
ここではっきり、させておきたいし」


さっきの話し??


「誰かさんが危なっかしくて、このままだと安心できないからな」


高遠さんの手が私の髪に触れた。

次に指が頬を撫でる。


撫でられた頬がブワァッと熱を持ったようにあつい。


「で…どうして、ずっと俺を見てた?」

やっぱり言わなくちゃ駄目ですか?

それを言うのは、すごく恥ずかしいんだけど…。