トビラの向こう側


車は見慣れない道を走っている。


「どこに行くんですか?」


「二人だけになれる所」


前を向いたまま応えた高遠さん…この後何が起こるのか恐くなってきて。


体が震えてしまう。


車が走り出して結構時間が経った、やがて車はあるマンションの駐車場に入って行った。



「降りて」


いつの間に降りたのか。

気がつけば高遠さんは助手席側のドアを開けて…
私が降りるのを待っていた。


恐怖で震えた足を何とか地面に着けた。

「行くぞ」


おぼつかない足取りで歩きだした。


彼は軽く舌打ちすると私の腕を軽く掴んで歩きだした。