トビラの向こう側

「放して下さい」


「駄目だ!行かせない」


行く手を遮られ引っぱられながら外に連れ出された。


「ちょっと…邪魔しないで下さい」


腕を掴んでいる手を振り払おうと自分の腕を動かしたんだけど…。


高遠さんの手は私の腕を掴んだまま。


「諦めろ放してやるつもりは、ないから」


何で?……。


智也さんへの罪悪感とやっと気づいた気持ちと…
この状況に頭の中がぐちゃぐちゃで―…。


「もう無理だ…これ以上…待てない」


高遠さんが何を言っているのか理解できず聞き返そうとした。


けれど口を開く前にまた帰る方向とは逆の方向に引っ張られて行く。