トビラの向こう側



智也さん!!


今まで見たことのない険しい顔をこちらに向けていた。


智也さんが怒っているのは、すぐに…わかった。


慌てて高遠さんから離れようとしたけど…
私を拘束している力を緩めてはくれず…抜け出せない。


高遠さんを睨んでいた智也さんは視線をはずして私を見た。

苦しそうに顔を歪めて…。
私が智也さんを傷つけた…。


やがて彼は私からも視線をはずして、こっちに向かって歩きだした。


横をすれ違う時も視線が合う事はなくて、そのまま通り過ぎた。


智也さんに謝らないと…


追いかけようと、もがいた。


掴んでいる手は更に力が加わり放さない。