「汐里ちゃん四番のテーブルに運んで」

「はい」


この間は高遠さんとの事でドタバタしていて智也さんに言えなかったんだよね。



智也さんて本当に思いやりがあって優しい人だと思う…でも…。


不意に高遠さんの顔がうかんだ。


なっ、何で…高遠さんが出てくるの…今は智也さんの事を考えていたのに。


だいたい高遠さんなんて智也さんみたいに優しくないし機嫌が悪いと冷たい態度をとるし―…。


「汐里ちゃんどうしたのさっきから」


「えっ?」


「汐里ちゃんの百面相…見てて面白かったけど」


ひゃ、百面相…恥ずかしい…変な顔してたんだ…きっと。


そっと智也さんの手が私の額に触れた。