でも智也さんとの約束をやぶれないし…。
でも誤解をときたい…。
「違うんです。
昨日は、たまたま用事があって…―そこで具合が悪くなって…」
「もういいよ。
汐里ちゃん」
「智也さん」
いつの間にか近くに智也さんが立っていた。
「どうしても必要で俺が無理に彼女のフリを頼んだんだ」
「彼女のフリ?」
「そう昨日1日だけの約束でね。
だから、やきもちで汐里ちゃんに八つ当たりするのは止めろよ」
「してねぇよ…そんなこと」
「とにかく俺と汐里ちゃんは、まだ、つき合ってはいないから」
「ふーん、そうなのか?」
智也さんと話していた高遠さんは振り返って私を見ながら聞いてきた。
私は頷いた。
「誤解はとけたみたいだし遅刻しそうだからもう行くよ」
智也さんは裏口のドアに手をかけて振り返った