トビラの向こう側



あれから…やっぱり眠れなくて朝、鏡をのぞいたら…ひどい顔!
いつもよりも念入りにメークをして何とか隠した。



アンブレラに着き、支度をして店内に入ると…店長と…ん?


あれ?


智也さんではなく高遠さんがいた。


「おはようございます」


「汐里ちゃん昨日はゆっくり休めた?」

「はい」


本当は寝不足なんですけど。


高遠さんは、いつものように振り向いて、挨拶を返してくれなかった。


機嫌が悪いのかな?

気になって、話しかけたんだけど。


「今日の昼間の担当は高遠さんになったんですね」


「悪かったな俺で」

なん…か機嫌が悪そう…。


「早く自分の仕事を始めたら」


そう言うと高遠さんは後ろを向いて仕事の続きを始めた。


また前の高遠さんになってしまった。


高遠さんは冷たい態度で何日か前の彼に戻ってしまった。


これ以上ここに、突っ立っているわけにもいかず。


何とか強ばってしまった体を動かして自分の仕事に集中した。