「汐里さん何か、さっきから、落ちつかないですね。
どうかしました?」
「え? 別に、何も…ないよ」
「そうですか?」
美月ちゃんは首を傾げながら中断していた片付けを始めた。
私、確かにさっきから、おちつかないんだよね……。
挙動不審だったかな……。
店内の時計の針は午後の6時をさし、私は帰り支度を始めた。
裏口を出た所で智也さんを待っていた。
「あれ汐里さん帰らないんですか?」
裏口から出てきた美月ちゃんに声をかけられた。
「智也さんに借りてた本を返す約束してたから」
「あっ、そうなんですか。
それじゃあ、先に帰りますね」
「うん、お疲れさま」
美月ちゃんは駅の方に歩いて行ってしまった。
ハァー、美月ちゃんに嘘吐いちゃった…でも秘密にしてって言われたし仕方ないよね。



