あれから美月ちゃんは時々アパートに来るようになった。


私も妹ができた、みたいで…嬉しかった。



智也さんと仕事が一緒の時「汐里ちゃん最近笑顔が増えたね」って言われて。


自分では笑顔でいたつもりだったんだけど、作り笑いに見えてたらしい。



今まで自分はこの街の住人じゃないからって、いつも一線ひいていたけど……。


美月ちゃんの存在が少し私を変えてくれたのかも。


高遠さんは最近、意地悪な事は、あまり言って来なくなった。


実はあの裏口での事を高遠さんが謝ってくれた。



声をかけられた時は、今度は何を言われるのかビクビクして思わず、あとずさりしちゃったんだ。



「汐里さん話があるんだけど」


「はい、私、また何かしました?」


返事は返したけど、つい後ろに何歩か下がってしまった。


それを見た高遠さんは苦笑いした。



「そんなにビクビクするなよ、何にもしねぇよ」


そう言われても体が勝手に動いて―…。