「紅茶は汐里さんの記憶の一部って事ですよね」


「自分の名前もどんな人間かも思い出せないのに記憶が紅茶だけって変だよね」

「他の事を思い出すきっかけになればいいですね」


「うん、ありがとう」


「美月ちゃんのお姉さんも紅茶、好きって言ってたよね?」
「お姉さんとも紅茶一緒に飲んだりしてるんだよね」
美月ちゃんの表情が曇った。


「美月ちゃん?」


「汐里さんお姉ちゃんはもう―……」


「どうしたの?」


「もうお姉ちゃんはいないんです……」

「え?」


「車の事故で―……死んじゃったから」

「ごめん、悲しいこと思い出すような事―…」


「いえ、大丈夫ですから」