「汐里ちゃん、ただいま」


気がついたら高遠さんは厨房に戻っていた。


「顔色が悪いようだけど大丈夫？」


「さっきから頭が痛くて」


「お店はあと二時間ぐらいだから今日は帰ってゆっくり休んだ方がいい」


「でも美月ちゃんが来るまでは」


「大丈夫だから今日は帰りなさい」


「はい、すみません」


店長の言葉に甘えて帰る事にした。


それに正直なとこ今日は高遠さんと顔を合わせたくなかった。


帰り支度を済ませ裏口から出て自宅に向かった。


アパートの自室で夕ごはんを食べ最近見出したバラエティ番組を見る頃には頭痛も治まっていた。


これなら明日は大丈夫、でも高遠駿…―ムカつく。


いきなり変な事聞いてきたり腕を掴んだり…―。


でも記憶の事、以外に頭が痛くなるのって初めてだっけ。