彼がこっちを向く。 一瞬、一瞬だけれど。 背筋がぞくりとする程に怖い形相だった。 でもあたしの顔を見るとさっきの顔はほんとうに忘れさせられるような 優しい顔になっていた。 「大丈夫?」 あ、この声…、 「赤坂隆裕(アカサカタカヒロ)…」 入学式で入試で一位だったから挨拶した超秀才野郎… 「僕やっぱり有名人?」 少し微笑みかけられた。