「泣かないでよ…」 彼の腕に力が入る。 「え、あたし泣いてなんか…」 ほっぺたを触ると、少し濡れている。 「なん、であたし泣いて…、っ…」 少し嗚咽が漏れる。 「怖かったんだよ。悲しかったんだよ。」 赤坂くんのその言葉で、 「坂枝さんも、やっぱり『キス』っていうのは特別なんじゃないの?」 「そんなこと…っ、だって、原くんに殴られても、赤坂くんにいきなりキスされても涙なんか…っ…!」 「俺にキスされて、少し変わったんじゃない?」 いきなりの『俺』に、ほんの少しだけ心拍数が上がった。