「そんな訳ないじゃないですか」 笑いながら言って、前を向くと、 「…え?」 その言葉はあたしの口からこぼれ落ちるように出た。 なんでここにいるんだろうか。 「…ん?」 向こう側にいる相手もあたしに気づいたらしい。 「何?知り合い?」 舞田さんの言葉が右耳から入って左耳へ出ていく。 たった今、頭の中にいた人物。 赤坂隆裕が、そこで立ち尽くしていた。 「坂枝、だよね…?」 「赤坂…?」