「秋穂、夜遅いし送ってくよ」
「うん、じゃあ頼みます」
さすがにこの真っ暗さで「いや大丈夫だよ~」なんて気を使えない。
「めっちゃ筋肉痛だわー」
「隆裕くんリレー全力だったもんね」
「うん…のさ、その…」
話をぶったぎるように話す隆裕くん。
「そろそろ…」
「そろそろ…?」
ゆっくりと足が止まっていく。
「いやっやっぱなんでもない」
いつも通りの声のトーンに戻っていく。
「…?うん、わかった…」
それからの隆裕くんはなんら変わらない様子でいた。
「今日はありがとね」
「ううん、これくらいは頼って?」
あー、寂しい。
なんでこんな…
「じゃあ、ね?バイバイ…?」
「うん、バイバイ」
隆裕くんが歩いていく音がする。

