「でもさ、4月にアツを見たとき思ったんだ。 『あ、あいつも何も見えてない』 って。 自分もあんな目をしてた。 アツを助けねえとって。 その時だった。 自分を押し込んだ。」 羽田くんを、助けるために? 「アイツ…っ日に日に消えていきそうな感覚にかられた。いつか、いつかアイツ、いなくなるんじゃないかって。でも良かった。少しずつ良くなったよ」 細身の彼の背中が、いつもは大きくてしっかりしているのに、 今は少しだけ心細く見えた。