起き上がったあたしを、 「無理すんなよ…」 優しく抱き締めた。 「怪我は?」 「ちょっと後頭部がこぶになったかも。でも致命傷じゃないし、家で冷やせば大丈夫だと思う。」 「そっか…ごめんな、俺がもっとはやく来れば…。麻川、怪我は?」 「ううん、わたしは大丈夫…。秋穂、ごめんね。ごめん」 原くんも大分申し訳なさそうな顔をしてる。 「違うよ。あたしも頭に血がのぼってたし。迷惑かけてごめん。さ、帰ろう!」 そう言うと隆裕くんは、 力のない笑顔を見せると、あたしから離れた。