それからしばらくして到着し、うるさいハゲと並んで学校に向かった。


「お!ここじゃね!?なあ、陽!」

「わかったから、いちいちでけえ声でしゃべんなよ…」


こいつのおかげで大注目を浴びた俺は、顔を手で多いながら校門を歩いていった。


「おい弘樹、俺の代わりにクラス表見てきて」

「へいへーい」


これ以上一緒に居たら、大恥かかされると思い、弘樹にクラス表見てこいと頼んだ。


疲れる……


「あ…あなたは…」
「え?」

振り向くと、電車で会った女が一人で俺を見上げていた。


「あぁ、ボールペンちゃんね。」

「え!ボールペンちゃんって…。あれは、急に揺れたから、転がっちゃっただけです!」


なぜかボールペンちゃんを一生懸命否定する女。
つか、こんなに喋れるやつなんだ。めちゃくちゃ大人しいやつかと思った。


「はいはい、で?名前は?」
「あ、えっと、朝比奈です」

「下」

「ウタです!詩ってかいて、うたって読みます」


"朝比奈 詩"


なぜか俺は、ぴったりの名前だって思った。
可愛らしいっつーか、女らしい?

そんな詩に、ぴったりだと思った。



「詩ね。俺は天野ハル、太陽の陽でハル。」
「陽、くん?」


ドキッとした。

名前を呼ばれただけなのに、照れくさくなる。


「陽で、いーから。詩。」
「あ…じゃあ、陽…」




これが


俺と陽の出逢いで


これから歩く


幸せの一歩だったのかも