「大畑真奈美!」

「あー。そーそ!大畑」

「いい加減名前くらい覚えてよ!」

「悪りぃな。どうしても覚えられないんだわ」


陵はそう言うと、また窓の外に視線を戻した。

「もう!じゃあ、名前!名前で呼んでいい?」
真奈美はそう言うと、どんなふうに呼ぶか考え始めた。


「陵じゃ、なんか普通だしな」

「なんでもいいよ。別に」

陵は今にもシッシと手でジェスチャーをつけそうな声で言った。