海の向こうに



病室に着くと、ピコン、ピコンと心電図の音がして、周りには慌ただしく動き回る医者達の姿があった。

「陵!!皐月ちゃんに呼び掛けてあげて!
声が聞こえるこもしれないって、
お医者さんが!」

母親がベッドの横から声をかけた。

陵もベッドの横へ行くと、母親が一生懸命声をかけていた。

「皐月ちゃーん!起きて!皐月ちゃん!」

「皐月?」
陵が微かに絞り出した声は震えていた。

「皐月ちゃん!ほら、陵も来てくれたわよ!」

『まずいです、先生!
血圧低下しています!』

看護師の声が遠くに聞こえた。

だが、その刹那、

ピ――――――――――――――

心電図の音が鳴り響いた。