海の向こうに



だが、1人でご飯を食べてからは何もする気にはならなかった。

ブラブラと外に出て、堤防に座った。


ザザー、ザザー


波の音が聞こえる。


健太さん、力貸してよ。
幸せにするっつたろ。
せめて、生かしてやれよ。

陵は海の向こうを見つめた。


何か人の気配がして後ろを振り向くと、大畑がいた。


「なんでここに?」

「笠原がここにいるから、行ってやってって」

「そ」

陵はそれだけ言うと、また海を見た。

真奈美は陵の横に座ろうとしたが、それを陵が阻止した。

「そこはだめ。こっちにして」

「う、うん」

真奈美は不思議そうにしながらも、陵の言う通りに座る。


ザザー、ザザー

波の音と、心地よい風が2人に当たる。