陵が病院へ着くと、自分の母親と皐月の父親がいた。


「皐月は!?」


「陵!まだ手術中よ。頭を強く打ったみたいでね、詳しくはよく分からないの」

母親は目が真っ赤に充血していた。


「陵か、来てくれたか」

「大丈夫だ!皐月は絶対に戻ってくる」

涙を浮かべた、皐月の父親の手をぎゅっと握る。

「そうだな、そうだ。きっと皐月は戻ってくるよな」

皐月の父親は自分に言い聞かせるようにして、その言葉を繰り返す。