その日は、皐月のことが頭から離れなかった。


ただ、堤防にいなかっただけ。
それだけじゃねーか。

でも、ただそれだけのことが心配で堪らなかった。


いつも、島にいるときはいたのに。

なんだか不安な気持ちになる。


気にしすぎだと言われれば、それまでだ。

でも、念のため、家に帰ったら皐月に会いに行こう。


陵は6時間目の終わりのチャイムの聞きながら、そう決めた。