皐月がまだ島にいるときには毎日していた行為だった。




「でも夜の海には気を付けたほうがいい」

陵も海を見つめながら、言った。


「死者に魂を持っていかれるんだ。海の奥深くに引きずり込まれる」



陵はそう言って皐月を見た。


「死者、、」

皐月はそう呟くと、今まで海に向けていた視線を陵に向けた。







「私はそれでもいいかもなあ」




月の逆光で、表情はよく分からなかった。
でも、少し微笑みを浮かべているようにも見えた。



「何言ってんだよ」

陵が震えたような声で言った。