海の向こうに



「どうしたんだよ?ここまで皐月が来るなんて」


陵は皐月を人目につかぬ場所まで連れてきた。




「ごめんね。これ、陵ちゃんのお弁当」


皐月は手に持っていた袋を差し出した。



「陵ちゃんが忘れたから、持っていって欲しいのっておばさんに頼まれてね。おばさん、忙しいでしょ。だから、私が来たの」

皐月は申し訳なさそうに言った。



「私だと、ほら、嫌がるかなって思ったんだけどね」


少し早口で話してから、「ごめんね」と小さい声でまた謝った。