海の向こうに



今まで寝ていた陵がガバッと起きた。



「あっ!陵ちゃん」


「なんで、皐月が!」


陵が急いで走って皐月の手首を引っ張って奥へと連れて行った。




皐月がどこかへ行ってしまうと、廊下にいたギャラリーも散らばって行った。



「皐月さん、すごい人気だね」


真奈美がポツリと呟いた。



「ああ、まあな。見た通り、美人だから。性格もいいときたら、みんな夢中だよ。
スカウトも来たことあるんだ」


和樹が笑いながら言った。



「そのときは陵が怒って追い返したんだけどね」



「そう。司波らしいね」



「本当に!いつも皐月のことには一生懸命だから」


和樹と真奈美は皐月と陵が消えていった廊下を見つめた。