「あっ陵ちゃん!おはよう」



陵が家を出ると、皐月が堤防に座っていた



「皐月。何してんだよ」


「いつもこうしてたからさ。久しぶりにやってみようと思って」


皐月がうーんと伸びをして海を見つめた。

「皐月が東京行ってからはここは俺の指定席なの!」


「あら!そうなの?譲ったつもりはなかったんだけどなあ」

皐月がふふと笑った。


陵が皐月の隣に座った。


「学校は?行かないの?」


「行くよ。あと少しここにいる」


「そう」

皐月はにっこり笑って陵を見た。


「学校好きだもんね。陵ちゃん」


「いつの話してんだよ」

陵が大きなあくびをすると、また皐月が笑った。



「そのあくび、よく見たわあ。いっつも眠そうな目をして私を呼びに来てくれてたのよ。学校行こうって」



「あー!うるせーな。そんな前の話すんなよ」


陵がそう言うと、皐月が「ごめん、ごめん」と謝った。



「俺学校行って来るわ」


陵は立ち上がって、お尻を払った。



「行ってらっしゃい」


皐月はにっこり笑って、手を振った。



陵は適当に手を降って、学校へと歩き始めた。