千年樹


 今日の朝食は和食らしい。

 ってことは、お弁当も和食で茶色ばかりで肉がないのだろう。


「春、おはよう」

「……おはよ」

「今日もいい天気ねぇ…」

「あー…そうだな」

「なによ、もぅ…歯切れ悪いんだから」


 誰に似たのかしらなんてぶつぶつと呟く母を横目に、俺は窓から空を眺める。


 ――ほんとに良い天気だ。


 あんなに昨日大荒れの天気だったのに。

 不気味な程、天気が良すぎる。



『春、さま――…』




「、っ!?」

頭の中で強く響く、声。

「(なんで…今?)」


 今まで、こんなこと一度もなかった。起きている時に声が聞こえることなど、一度としてなかった。

 声が聞こえるのは、夜寝ている時で夢の中だけ。


 それなのに、なぜ――今聞こえる?



「――…ん、しゅ、ん。しゅん!!」

「――っ。な、に…?」

「どうしたのよ、そんなに強張っちゃって…最近の春、何か変よ?」