「しゅーん! 朝よー起きなさーい」
階段の下から、大きな声で俺を呼ぶ母親。その声に俺は毎回決まった返事を返す。
「今からいくー」
あたり前の毎日。変わらない日常の一コマ。ふ、と時計に目をやると時間は薄情にも刻々と時を刻んで朝を終わらせようとする。
慌てて着替える手を早める。
ワイシャツにネクタイ、スラックス。そして、ブレザー。通学用の鞄を持ち、忘れ物がないか頭の中で軽くチェック。
いつもと何ら変わりのない自分を机に立ててある鏡で見て(母親が勝手に付けた)、俺は自分の部屋を後にした。
トントンと軽快な音を立てて、階段を下りリビングへと繋がるドアを開ける。瞬間、朝食の香りがふわっと俺を包みこんだ。

