幸せ。
ねぇ、葵……?
もし葵がここに居たら、葵は私を、秦の傍にいさせせくれますか?
きっとね。
葵は誰よりも優しい人だから、許してくれるんだろうね。
私の幸せ。
葵の幸せ。
秦の幸せ。
みんなが幸せでいれられる方法なんて、あるのかな。
「秦……。率直に言うから、聞いてね?」
「ああ」
「私は、全部0にして、秦を想えば、誰よりも秦が好きよ。
……でもね、心には葵がいるの」
「それだけでいい」
「え?」
「何もかも、思い出捨ててまで、俺の事、好きになんなくていいんだよ。
たった一欠けらでもいい。俺を想ってくれるなら、十分なんだよ」
――“俺を想ってくれるなら、十分なんだよ”
秦の言葉は、何でこんなにも温かいんだろう。

