恋の華が舞う季節

目を閉じれば蘇る過去。


今思い出しても、私と葵(アオイ)との思い出は、鮮明に覚えてる。

大切な人だから。

一生忘れたくないから。


葵を過去の人物として遺したくないの。


だから……――


「これは、葵から貰った物だし……捨てれないの。これは一種の“誓い”だから」


――『好きだから、傍にいて……』


そう言って照れた顔も、恥ずかしさから動揺していていた姿も、全部、好きだった。


忘れられない。


忘れる事なんて、出来ない。



「……中学になって、何か変われると思ったけど……本当、あの頃のままなんだな~~。
 私」


「結衣……」


「秦の事は、蜜柑のせいじゃないよ、でももう恋したくないの。私の勝手な――理由」


「秦は、でも!!」




「結衣!!」