恋の華が舞う季節

「私……」


「もう、何も言わなくてもいい」


え?!


後ろを向くと、汗を流しながら、来た樹がいた。



「ごめ!」



どうしよう。


今の話……聞かれた?!




「謝る必要は無い。
 
 俺は、結衣と少し話したい。
 だから――来て」


差し出された手。


私は蜜柑を一瞬見て、その後その手を握り返した。