恋の華が舞う季節

その様子を樹は見届けた後、どうやら用意していた自転車を持って来て乗るように促した。



「……私……」



――『しっかりつかまっとけよ!』



秦……


そう言って、力いっぱいこぎながら、私を乗せてくれた。



あの日私は幸せだった。


秦からはじめて貰った指輪とか。


2人で見た、この町の風景とか。




あの時は、こうなるなんて思ってなかった。



秦――


秦――!



溢れた気持ちが、涙となって頬から地面に向かって落ちていく。