恋の華が舞う季節

「どうしてここに来たの――?」


前を見ると小さい子供のような男の子が、私の目の前に立った。


「分からない……」


「何で?」


「どうして、ここに来てしまったのか分からないの……。
 だから私も――困ってて」


「嘘だろ!!」


即座に私の声を、跳ね返してきた。



「本当は、逃げたんだ!!
 考えることから背けて、自分ばかり見て、他人がどれだけ結衣ちゃんの事を想ってくれるのも、知らずに!!」


「――ちが……!」



言い返したかった。


でも言い返せなかったのは……全て、事実だったから。


私は地べたにしゃがみ込んだ。