恋の華が舞う季節

15歳の春――


ただ願った事はそれだけだった。


段々と意識がもうろうとしていく中で、一瞬、葵が泣いたような気がした。



秦もあの笑顔さえなくなって、ただ黒く染まっていく景色を、私は眺めてく。



誰かの笑顔を、誰かの希望を、誰かの幸せを私はただ、願ったんだ。



辛い過去を思い出にして欲しい。



光の先に見えてきたのは、ただ死だけだった。