「もういいです。無用心に歩いてた私も悪いですし。」


どっちかっていうと、謝って欲しかったのはアイスについてなのだけれどれDQNはきっと強姦しそうになったことについて謝っているのだろう。

きっと、こんな思考も、人から見たら変わっているのかな?


「オマエ、ホントおもしれー女。騒ぐなって言ったら強姦されそうになっても抵抗しねーし、相手にアイス頼むし。」


やっぱりわからない、この人の思考は。
私が変わっている証拠でもあるよね、きっと。


「気に入った。オマエ俺の女になれよ。」


え、待って。
いきなりですか。
軽くない?しかも、私あなた苦手だし。
私の返事は無視?


「は、嫌ですけど。私、あなたみたいな人苦手なんで。」


きっぱりと言った。
だって嫌でしょ、不良ですよヤンキーですよDQNですよ?

恋人とかいらないし、人と関わりたくないから引きこもりやってんのに、誰が好き好んでDQNの女にならなきゃいけないんですか。
某匿名掲示板で叩かれるの嫌ですし。


「きびしーな。始めてだわ、オマエみたいな女。」


男はなおも楽しそうだ。

もう、なんなの、分からなすぎる。


「じゃあ、名前。名前は?」


教えるのはシャクだけど、教えるだけ教えて帰ろう。


「渡瀬 瑠稀。」

自分の中の精一杯の低い声で言った。

「ルキか。俺はデビル。悪魔って書いてデビル。」


はぁ、今流行りのDQNネーム、いわばキラキラネームですか。
御愁傷様です。

「なんてな。大きく成るって書いてひろなりだ。高峰大成。」


まともな名前でよかったですね、デビル(笑)さん。

「ほんとはもっとかっけー名前がよかったんだけどな。大成とか戦国武将みてぇだし。」


私は素敵だと思いますよ、その名前。
デビルさんのホントの名前。

あれ?私何しに来たんだっけ?
ご飯と、アイス!


「すみません、アイスが溶けるので帰りますね。」


私はそう言うと、家へ駆け出した。

デビルさんが何か言っていたけど、聞こえないフリをして逃げたした。


第一印象最悪な、デビルさんとの出会いだった。