傘はあるけど、傘をさす気力もなかった。 涙が止まらなくて止まらなくて、嗚咽も酷いぐらいだった。 でも、自分が泣いてることを認めたくなかった。 ――――家に帰りたくなくて、ずっと公園のブランコにぽつん、と座っていた。 時間が過ぎるのも気付かないほどに、無心で、今思えば、魂抜けていたんじゃないかなって。 「なにしてんの?」 声のするほうをみると、隣のブランコに乗っていて雨に打たれている少年がいた。