白というイロ。




いつも飄々としている彼の姿が見当たらない。背景の白があんなにも似合っていたのに、今は白に溺れてしまっているかのよう。我もわからず、がむしゃらに。



「ごめんね、安部さん」


「煩い」


「ううん、ごめんね。僕の為に傷ついてくれてるから」


「…な、んでっ」



声にもう、ならなかった。ならなくても、皮膚を通じて彼には伝わったと思うけれど。



どうして、そんなに悲しい生き方を選んだの?

どうして、あんなに幸せそうに笑っていたの?




わからない。

誰かを思って、感情というものがこんなに掻き乱れるなんて知らなかった。



「安部さん、泣かないで」


「ーーーっ!煩い!」



自分だって、泣いてるじゃないか。…いつだって、泣いてたの?


だから、君はあんなに綺麗に見えたの?




私はまだ、中学生で。幼い、子供で。何も出来ないのはわかってる。

でもこんなときに、只泣くだけなんて本当に愚かしい。自己嫌悪で吐きそうだ。