必死に息を殺して、彼が何を思っているのだろう、とか。
「でも、決まったら皐月ちゃんも来て欲しいんだけど。…どうかな」
「…もちろん」
「ふふ、ありがとう。嬉しい。…よし、私はそろそろ帰ろうかな」
「…え、会って、かないんですか?」
左手を飾る真新しいリングに、彼はもう泣いてしまうんじゃないか、とか。
「だって、随分幸せそうに寝ているから。起こすのも可哀想だしね?じゃあ、またね」
「は、い。また…」
それだけ言うのが精一杯。声が上ずって、掠れていく。
私の考えていることが、外れていたらどんなにいいか。
( あの白に、闇が落ちていく )
でも、そんな都合の良い現実は無い。
それを裏付けるかのように、戸が閉まると同時に私は彼に抱きしめられていた。
横山くん、痛いね。私も、何でかな、辛いよ。

