「朝練とか絶対無理!」
そういって、玄関から出てきたのは、田中竜奇。
中学校ではそこそこ有名なイケメン男子だ。
大きなあくびをして歩き出すとすぐに後ろから足音が聞こえてきた。
(ヤバイ。きたぞ…。)
「竜ちゃーん!」
おゎ!
(あっぶねー、)
飛びかかってきたのは、一歳下の幼なじみ梨花。
前まで可愛いとかいろいろ思ったけど、今思うことはただ一つ。
ウザイ。
何とかそこで梨花とケンカしていると、クラスメートの田所麻由が来た。
「おはよう田中君!」
(こいつ!まためんどくせーな)
麻由は学校で竜奇につきまとっているいわる追っかけ。
表ではいい顔しといて、あいつがどんだけサイテーな人間かはもう、耳に入っている。
正直言うと、こいつもウザイ。
いや、梨花以上にウザイ。
「てか、何でおれ最近ウザイとしか思わないんだろ…。」
ぽつんとつぶやくと、梨花が心配そうに顔をのぞき込む。
でもその顔を見て、思わず笑いがこぼれそうになる。
その状態がずっと続いていいると、時間は勝手にすぎていく。
「田中君!朝練遅れるよ?」
(あっやべーわすれてた)
竜奇が歩き出すと、後ろから小さく叫び声が聞こえた。
その言葉を聞き取ると竜奇は、見えないように笑った。
そして小さくつぶやいた。
「お前は子供だ(笑)」