「すいません。ちょっとお尋ねしたいことがあるんですけど」




みかん畑にいた人に圭吾が話しかける。ちょっと小太りのでも可愛らしい中年のおばさんが姿を現した。




「はいはい。なんですか?」




「あの、僕たち人を探してるんですがこちらにトメさんというお婆さんはいらっしゃいますか?」




「トメさん?うちにはそんな人いないけどね」




「そうですか・・・ありがとうございます」




やっぱりここにトメさんはいない。またみかん畑を一から探し始めなきゃいけない。



トボトボと2人で元来た道を戻り始めた。



無謀だよね。
あまりにも手がかりが少なすぎる。会いたいからただ会いにきた。でも、会えるなんて奇跡だよね。


だって、私トメさんのこと何も知らない。