綾乃は、すごくモテる。


入学式の翌日には、「ものすごく可愛い新入生がいる」という噂がキャンパス中に広まっていたほどだ。


そんな綾乃といつも一緒にいると、どうしてもこういう機会に遭遇してしまう。


自分は蚊帳の外だってことは分かっているけれど、人見知りで、特に異性が苦手な私に、こういう事態は恐怖以外の何物でもない。




「お声をかけてもらえて嬉しいけど、私達まだお子様なんです。

お酒を飲める歳になったら、また誘ってくださいね」


私の変化をすかさず察知した綾乃は、ひらりと先輩たちの誘いを断ってくれた。


渋々去っていく三人の背中を見送っていると。


「ねえ、今のどうだった?」


綾乃がいたずらっ子の笑みを浮かべて尋ねてきた。


三人組の声を食べたのか、知りたいみたい。


「食べてないよ。

おいしくなさそうだったから」


「やっぱり、そうだと思った」


すると、綾乃は得意げに顎を上げてみせて。


「そんなグルメな沙妃に、とってもいい話があるの」


「……何?」




「私達のライブにきてみない?」