気狂い男とお嬢様の私。


資料を頭より高くしながら、椅子に乗りクルクル回る。




「お嬢様!!」



「うわッ!何、えっ?何?」




使用人5人が、SPに抑えられながら部屋に入ってきた。



いつも大人しい使用人達が珍しい。




「お、お、おじょゆさま」



「ん?」



「おじょ、おじょ」



「だから、なーに?」




椅子から降りて、資料をまとめる。



そのリズムに乗せて、使用人は呼吸を整えていた。





「だ、旦那しゃまが」


「お、奥しゃまが」


「た、ただいま」


「きゅ、9年ぶりに」



「帰って来られました」




バサァーと大きな音をたて、
足元に資料が広がっていく。




「旦那様、奥様が、
9年ぶりに帰って来られました!?」




出入り口にいる、使用人とSPを力任せにどかせ、城内を走る。




「なんで、帰ってきてんだ!?」