人一人は軽く収まる箱と私。
一対一の空間が、妙に緊張させた。
「なんなのよ、
最高で最後のプレゼントって」
一歩一歩箱に近づいて、箱についた大きな赤いリボンに手を伸ばす。
引っ張ろうと思っても、
なかなか引けないのが人間で。
妙にガタガタ手が震える。
「行くわよ...えいッ!!」
赤いリボンを一気に引き、足元に置く。
リボンだけでもかなりの重さ。
今度は箱のふただ。
大きな問題、ラスボスだ。
リボンは一歩置いて出来たが、ふたはそうもいかない。
もし勢いよく出てくる系だったらどうしよう...
「中身なんなのよぉ」
最高で最後のプレゼント。
開けたら最高なモノが入ってる。
だけど開けたら最後。
親から貰うプレゼントは今後無い。
「誕生日の前夜も誕生日も、
家族なんか祝ってくれやしないんだわ」
私が欲しいのは、モノじゃない。
愛という、
家族内の愛が欲しいのに。