六歳まで一緒にいた。
それはあくまでも帰る家が一緒だったっていう意味で、
同じ時間を一緒に過ごしていた記憶が無い。
あっても、さっきのように
すぐに消えてしまう小さな時間。
それを積み重ねても、一日の24時間に満たない。
他の子が出来ないことをやることで、
褒めてくれる=時間が出来ると思ってた。
だけど褒めてくれるのは、
私が望んでいない人。
『きっと麗華ちゃんのパパもママも喜んでるわよ』
『こんな子が娘なんて、ご両親自慢の子ね』
『いい子ね、麗華ちゃん』
そこに愛なんて無かった。
恵比寿の人間だから、
私がいい子で偉い子だから、
大人は褒めて、
子供は一歩遠くで私を見ていた。
『恵比寿家の麗華様よ!!』
『綺麗!さすが麗華様じゃん』
恵比寿さえ継げば、
両親といれる時間が増える。
「最高で最後のプレゼント...
最後....」
なんだか胸騒ぎしかしない響き。
嫌な予感しかしなかった。