ひとつ、屋根の下で



いきなり背後から噂の張本人の呑気な声がして、びっくりして振り返る。



「渡すの忘れてた。はいコレ」



振り返ったすぐ目の前に立っていた凌が、そう言って私のシュシュを差し出してきた。


お気に入りの淡いブルーのシュシュ。



「あれ、なんで」



受け取りながら訊くと、呆れた顔をされた。



「昨日部屋に忘れて行っただろ」


「え、ホント?ゴメンありがと」



朝から探してたんだよね。

そっか、凌の部屋にあったのか。


じゃあ見つかるわけないじゃん、なんてひとり納得してシュシュを手首に通す。