ひとつ、屋根の下で



「……ずいぶん変わったように見えるのは気のせい?」


「それは、いい意味?それとも」


「いい意味に決まってるでしょ。……俺も、ドラマ見たよ。

……あんた、あんなに演技上手いのに今までオーディション通らなかったとか、なんの冗談?

出来レース的ないい役しか受けてなかったとか?」



そう言った瀬野くんに、私は思わずあははと笑った。


いい役しか受けてなかった、なんて笑ってしまうくらい、必死にどんな小さな役のオーディションでも受けて、そして見事に玉砕してたよ。




「……最近、やっとわかったんだ。どうしてこの頃こんなに役に入り込めるようになったのかって」



小さいころから演技が好きだった。


仕事で忙しい両親は、私のことなんか相手にしてくれなかったから、いつだってひとりで遊んでいた。


だから、演じることは好きでも、誰かに見られることに慣れていなくて、少なからず抵抗を感じていたんだ。


自分の全てを役に溶け込ませることが、少しだけ、恥ずかしかったんだ。