ひとつ、屋根の下で


「しかも、あいつの答えがもし自分のことを好きだったら、好きって言うって……。まだ受け身なわけ?自分から動くって決めたんじゃないのかよ」


「あ……、えと、でも」


もしも私が思っているように、凌の優しさがただの同情だとしたら、私の気持ちなんて凌にとっては迷惑だろうし……。


「でもじゃない。あんたはもっともらしい理由をつけてただ逃げてるだけだ。

そんな、両想いだって分かってる状態じゃなきゃ告白しない、なんて、あんた、自分を好きな人ならだれでもいいわけ?」


「そんなわけない……!」


それだけはない!


そう思って言い返して、しかしふいに強い視線でこちらを見ている瀬野くんと目があって思わずたじろぐ。



「そんなわけ、ないよ」


「本当に?」


「ほ、本当だってば……っ」


私がそう言ったのと、瀬野くんの手が私の方に伸びたきたのは、ほとんど同時だった。



「……っ!?」


伸びてきた手は、顔だけを運転席に向けていた私の耳に触れて、そしてその耳に掛かっていた髪を伝い、首筋を撫でた。


声がでないくらびっくりして、そして相変わらず私の目をまっすぐに見る瀬野くんの視線から、逃げられない。



「……俺があんたのこと好きだって言ったら、あんたは俺のこと絶対に好きにならないって言える?」