「自分の車?すごいね」
「遠出すること多いからね。中古の安いやつだよ。……ってそんなことを話すためにここに来たわけじゃないでしょ。
……なんで、泣いてたわけ?」
運転席から向けられた、痛いくらいのまっすぐな視線。
瀬野くんの雰囲気はいつも、私に隠し事を許してくれない。
「……訊こうとしたの。さっき、瀬野くんに言われたこと。そしたら」
私は、瀬野くんの顔を見ることはできないまま、さっきあったことを話した。
最後まで聞いてから、瀬野くんは大きくため息を吐いて。
おそるおそる瀬野くんを見ると、ものすごく呆れた顔をしていた。
「……瀬野、く」
「アホ」
「うう……」
「あんた、ほんっとーにアホだね!ちょっとは学びなよ。
……あんた、自分が言葉足らずだってさっき気付いたんじゃないの!?」
「え……」
アホらし、と瀬野くんは運転席の座席に深く背中を沈めながら、もう一度ため息を吐いた。


