「にゃにしゅんにょ(なにすんの)」
「うざい。大丈夫じゃないやつほど大丈夫とか言うんだよ。そんな泣きはらしたブサイクな顔してるやつには強がる資格もありません」
「ひどいっ!」
解放されたほっぺたを思わずさすりながら、私はキッと瀬野くんを見た。
「この辺何もないなら、もういいや、車で」
そう言って、私の手を掴み立ちあがらせた瀬野くんがずんずん歩きだす。
「車?」
「ん。家からここまで車で来たから」
「えっ!」
瀬野くんは私より少しだけ年上で。
撮影にもいつも電車でくるわけでもなくて。
それは知っていたけれど、自分の車を持っていると聞くと、瀬野くんが途端に大人に見えた。
駅の駐車場にとまっていたいたのは、可愛らしい形をした軽自動車だった。
「取り合えず乗って。暖房入れる」
「あ、うん」
言われるがままに、助手席に乗った。
瀬野くんがエンジンをかけて、車がぶるると震える。


